天敵を利用した害虫防除は、うまく行けば大変な効果を上げる。何しろ、虫の方が勝手に増えて、どんどん害虫を食ってゆくのだから当然である。特に、移入種の昆虫を防除する場合、それを捕食またはそれに寄生する昆虫を探してきて持ち込み、効果を上げた例が多数ある。イセリアカイガラムシに対するベダリアテントウ、ルビーロウカイガラムシに対するルビーアカヤドリコバチなど、今ではこれらのカイガラムシを見るのが難しいほどの防除効果を上げている。
そういった場合ではなく、在来の昆虫を相手に天敵を使う場合、全滅に持ち込むことはできない。自然の生物群集では、自分の餌を食い尽くすようでは、自分が絶滅するので、必ずそうはならない仕組みが存在するからである。したがって、天敵利用は、害虫を一定量以下に抑えるか、要所要所で退治するかという形を取る。たとえばハダニのついた枝にハダニを食うカブリダニの入った袋をぶら下げれば、その近辺ではハダニを全滅に持ち込むことが期待できる。
ただし、さまざまな問題点も指摘されている。
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病原体を利用する場合、抵抗力を持つ害虫が出現することがあり得る。
また、外来の天敵を持ち込む場合、天敵が、目標だけを攻撃するかどうか分からない場合がある。沖縄で、ハブ退治を目的にマングースを放したのはこの例である。結果として、ハブは減ったかどうか不明で、むしろマングースによるヤンバルクイナなど固有種が食害され、問題となっている。